【薬剤師が解説】サウナで整うのはエンドルフィンのおかげ?

2024.03.25



依存性のないモルヒネと呼ばれるエンドルフィン。
リラックスしているときに増える脳内の幸せホルモンです。
このエンドルフィンの効果と、脳内の幸せホルモンを日常で増やす効率的な方法をあんしん漢方の薬剤師である中田早苗さんにうかがいました。



   1. エンドルフィンの効果とは?


エンドルフィンがもたらす効果は主に4つあります。

   1-1.幸福感
エンドルフィンが分泌されることで幸福感が得られます。
幸福感が得られるメカニズムは痛みや恐怖、ストレスなどの負の感情や感覚を軽減するからだとされています。

エンドルフィンによる幸福感は、たとえば「ランナーズハイ」が当てはまります。
走っている途中で足に痛みを感じるといったマイナスなことが起きても、長く走っていると苦痛や痛みが軽減し爽快な気分になります。
まさにこの現象が、エンドルフィンの力なのです。

ツラいと感じる状況がしばらく続いても、エンドルフィンが分泌されると多幸感や陶酔感、気分の高揚感をもたらしてくれます。

   1-2.鎮痛効果
エンドルフィンは「脳内麻酔」の異名を持ち、モルヒネにも匹敵する強い鎮痛効果があるとされています。

たとえば、闘病中でも幸せや楽しみを見出せている患者さんは、先を悲観する患者さんよりも痛みを訴える人が少ない傾向にあります。
それはエンドルフィンが関連していると考えられているのです。

エンドルフィンが強力な鎮痛効果をもたらすのは、オピオイド受容体に結合する物質だからです。
オピオイド受容体とは痛みの信号を脳に伝えるスイッチの役割をしており、オピオイド受容体にエンドルフィンが結合すると、直接神経の働きがブロックされて強力な鎮痛効果がもたらされると考えられています。

   1-3.リラックス
エンドルフィンは幸福感だけでなく、ゆったりとした気持ちにさせてくれる効果があります。

エンドルフィンがリラックス効果をもたらすのは、ストレスを緩和する作用があるためです。
ストレスを感じると血行が悪くなったり筋肉が緊張状態になったりします。
そのような状態でエンドルフィンが分泌されると、ストレスを緩和する作用により心身の緊張がほぐれ、リラックス状態に入るのです。

   1-4.記憶力のUP
エンドルフィンは「A10神経」を活性化させる作用があることから、記憶力のUP効果が期待できるとされています。

A10神経は記憶の機能を司る「海馬」と、思考の機能を司る「前頭葉」に刺激を与える神経です。
エンドルフィンの分泌によりA10神経が活性化されると海馬や前頭葉への刺激が増えるため、記憶力がアップします。


   2. こんな簡単なことで!?エンドルフィンがでるのはどんなとき?


エンドルフィンが分泌されるタイミングやシーンを紹介します。

   2-1.15分ほど歩く
エンドルフィンは15分ほど歩くだけでも分泌されることがわかっています。
近くのスーパーまで歩く、15分のウォーキングをするなど歩く時間を作るだけで、幸福感やストレス軽減効果を得られます。


   2-2.好きなものを食べる
エンドルフィンは、好きなものを好きなだけ食べたときに分泌が促されます。
苦痛を感じたときにも分泌が促されますが、癒しを感じたときにも同様の効果があるのです。
だからといって、糖質や脂質がたくさん含まれるものを毎日たくさん食べるのはおすすめしません。
糖尿病や高脂血症などの生活習慣病のリスクを高めるため、週に1回、月に1回のように回数を決め流ことをお勧めします。

   2-3.好きなことをして笑う
エンドルフィンを分泌したい方は笑うことも大切です。
好きなことをして笑ったり面白い番組を見て笑ったり「笑う」という行動をするだけでエンドルフィンは分泌されます。
思いっきり笑う必要はなく「うふふ」「ムフフ」程度で十分に効果があります。
意識的に笑う回数を増やしてみましょう。

   2-4.サウナに入る
サウナに入ることも、エンドルフィンの分泌につながります。

サウナは、水風呂とサウナを何度か行き来するのが一般的です。
温と冷の刺激を繰り返すことで血流がよくなり「整う」と呼ばれる状態を目指せます。
整うという状態は、温冷刺激によってエンドルフィンが分泌され、瞑想しているような精神状態になるといわれています。

はじめてサウナを利用する方は、かならず無理をしないようにしましょう。
また、たくさんの汗をかくため、十分な水分補給も忘れないようにしてください。

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