冬になると繰り返される手荒れ。冬には手荒れがつきものだから仕方がない……と思っていませんか。
じつは、毎日のハンドケアや生活習慣を見直せば、冬でも艶々手肌を手に入れることができるのです。
今回は、正しいハンドケアの方法や手肌を守る生活習慣をご紹介します。
1.冬の手荒れに悩んでいませんか? 症状と原因をチェックこれって手荒れなの? このように思う方は、まず手荒れの症状を確認しましょう。さらに、手荒れが悪化してしまう身近な原因も解説します。
1-1.手荒れの症状
手荒れの症状は、軽いものから長引くものまでさまざま。ここでは、手荒れの症状を軽い方から順にみていきましょう。
・カサカサ、あかぎれ手肌が乾燥している状態です。乾燥がさらに進むと指先などに切れ目が入って、あかぎれが起きることもあります。
・水疱(すいほう)手指や手のひら、手の側面を中心に小さな水疱ができた状態です。水疱は、ときに赤みを帯び、かゆみを伴います。
・ジュクジュクかゆみがある部位を掻き壊してしまうと、水疱が破れて汁が出てジュクジュクした状態になります。
すると、皮膚のバリア機能が低下し、外部からの刺激を受けやすくなるのです。その刺激によって、症状がさらに悪化するという悪循環に陥ることもあります。
・ゴワゴワ、ひび割れ、皮むけジュクジュクを繰り返すと、ジュクジュクが乾いて皮膚が分厚く変化してしまいます。
そのような皮膚は硬く柔軟性がないため、痛いひび割れができたり、皮がむけやすくなったりします。
1-2.手荒れが悪化するのはなぜ?一度手荒れが生じてしまうと、なかなか治らないことが多いですよね。手荒れが悪化する原因には、以下のようなものがあります。
<手荒れが悪化する原因>・保湿をしない・保護をしない(外出時の手袋、水仕事のときのゴム手袋など)・掻いてしまう・素手での手作業が多い素手での手作業は、仕事上避けられないという方もいるかもしれません。しかし、手肌の保湿や保護をすること、掻かないようにすることは、毎日の生活のなかで気を付ければ改善できます。
手荒れが悪化しないように、毎日のハンドケアを見直してみましょう。
2.冬の手荒れの正しいハンドケアとは?ハンドケアのなかでも最も重要なのは保湿です。効果的な保湿のポイントを解説します。
2-1.ハンドクリームの選び方ハンドクリームで手を保湿して乾燥を防ぐことは、手荒れを悪化させないための第一歩です。ハンドクリームにはさまざまな種類がありますが、用途に応じたものを選んでみましょう。
・保湿力の高いものを選びたい場合「ヘパリン類似物質」や「セラミド」が入ったものがおすすめ。
「ヘパリン類似物質」は病院で処方される保湿剤にも含まれていて、高い保湿力があります。また、天然保湿成分の「セラミド」が含まれているものも保湿効果が高いといわれています。
・手肌のガサガサが気になる場合「尿素」の入ったハンドクリームがおすすめです。尿素には角質を柔らかくする作用があるため、分厚くなった手肌を柔らかくしてくれます。
ただし、あかぎれやひび割れなどの傷に塗ると、しみることがあるため注意が必要です。
・手の冷えや赤み、かゆみが気になる場合手が冷える人には「ビタミンE」配合のもの、赤み・かゆみがある人には「グリチルリチン酸」など抗炎症効果のある成分が配合されたものがおすすめです。
2-2.塗り方のコツハンドクリームは「手全体にまんべんなく塗ること」、「こまめに塗ること」が大切です。以下の手順でハンドクリームを塗りましょう。
<ハンドクリームの塗り方>・手のひら、手の甲、手の側面に両手を重ねながら塗る・手指1本1本を反対の手で握って回しながら、手指全体にしっかり塗る・指先1本1本に塗る・両手を組んで、指と指の間にも塗る手を使ったり洗ったりすることでハンドクリームはすぐに取れてしまうもの。外出時も持ち歩いて、手を洗うたび、乾燥を感じるたびに塗るようにしましょう。
3.手荒れ対策には日常生活の見直しも手荒れ対策には生活習慣の見直しも大切です。毎日の手洗いや消毒を行ううえでの注意点、食事の注意点などについて解説します。
3-1.消毒液やハンドソープを使ううえでの注意点消毒液やハンドソープは毎日頻回に使うため、手肌の状態に大きく影響します。
肌に合わないものを使うと手荒れの原因になることも。消毒液やハンドソープが合わないなと思ったら、選び方を見直してみましょう。
手荒れしやすい場合は、保湿成分の入った消毒液やハンドソープがおすすめです。消毒液は低刺激のものも販売されています。また、泡状のハンドソープは洗い流しやすく、手洗いの時間も短縮できるため重宝ですよ。
3-2.手荒れ対策に効果的な食べ物毎日の食事も、手肌の健康に関わっています。バランスのよい食事を摂るように心がけましょう。以下に、おすすめの栄養素と食材を紹介します。
<手肌の健康に役立つ栄養素と主な食材>・たんぱく質(肉類、魚類、卵、大豆など)
・ビタミンB(玄米、レバー、納豆、のりなど)
・ビタミンC(キウイ、イチゴ、ブロッコリー、パプリカなど)
・ビタミンE(卵、アボガド、かぼちゃ、うなぎ、アーモンドなど)
肌の主成分であるたんぱく質、肌の代謝を助けるビタミンBやビタミンC、血流をよくするビタミンEをしっかり摂るのがおすすめです。
3-3.内側からの対策には漢方薬がおすすめ「くり返す酷い手荒れを改善したい」
そんな方には漢方薬がおすすめです。
クリニックでは、手荒れにステロイド外用薬や保湿剤が処方されますが、内側からのアプローチには、皮膚科の治療でも使われている漢方薬も効果的です。
漢方医学では、かゆみが強い、ジクジクしている、カサカサしているなどの症状と体質を考慮して、その人に適した漢方薬が選ばれます。
こまめな保湿やバランスのとれた食生活を継続するのは大変という方でも、漢方薬なら症状や体質に合うものを飲むだけなので、手軽に毎日続けられそうですよね。
さっそく始めてみたいと感じた方のために、以下に手荒れの症状に悩む方におすすめの漢方薬をご紹介します。
<手荒れにおすすめの漢方薬>・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)手荒れなどの皮膚炎や、のぼせ、足冷え、肩こり、月経不順などのある方 漢方では「血(けつ)」や「気」がからだをめぐることで各器官に栄養が届けられ、各器官の機能のバランスが保たれていると考えられています。
「血」が滞ると、各器官への栄養が不足し、皮膚トラブルが起こりやすくなります。また、冷えとのぼせが同時に起こったり、月経不順が生じたりします。
桂枝茯苓丸は滞った「血」の流れを整える働きがあります。
・当帰飲子(とうきいんし)皮膚の乾燥、湿疹、かゆみや冷え性がある方当帰飲子は、「血」が不足して皮膚に乾燥、湿疹、かゆみが出ているときに、「血」を補う働きがあります。また、かゆみを抑える生薬や「気」を補う生薬も配合されています。
ただ、からだにやさしい漢方薬とはいえ、自分の体質に合っていなければ、よい効果が見込めないだけでなく、からだへのダメージを与える場合もあります。
自分に合う漢方薬を見つけるためにも、購入時には、できる限り漢方に詳しい医師、薬剤師にご相談ください。
お手頃価格で不調を改善したい、という方にはスマホで気軽に薬剤師に相談できる「あんしん漢方」のような新しいサービスもおすすめです。
AIと漢方のプロが、効く漢方を見極めて、お手頃価格で自宅に郵送してくれる「オンライン個別相談」が話題です。
●あんしん漢方:
https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=22z33zc0lafa0032
4.ハンドケアで今年の冬は手荒れ知らずの艶々手肌に今回は、手荒れを悪化させる原因や、ハンドケアのポイント、手荒れに効果的な食べ物をお伝えしました。
また、くり返す手荒れに対しては、専門家に相談したうえで漢方薬の力を借りることもおすすめです。ぜひ、正しいハンドケアを習慣にして、今年の冬は手荒れ知らずの艶々手肌を目指しましょう。
<この記事を書いた人>皮膚科医 金城 里美医師/薬剤師
東京大学薬学部卒業後、医師を目指して、東京医科歯科大学医学部に入学。
体、精神とも関わって多様に現れる皮膚の病態に興味を持ち、皮膚科医の道を選ぶ。卒業後、大学病院、総合病院、クリニックでの皮膚科勤務を経て、一般皮膚科から美容皮膚科まで皮膚科領域の診療を幅広く行う。現在、総合病院の皮膚科常勤医として勤務。
皮膚がより良くなることで、その人の毎日がより明るくなることを目指して日々診療を行う。
●あんしん漢方(オンラインAI漢方):
https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=22z33zc0lafa0032