ファッション業界周りの旬な人からぽっちゃり女子へのメッセージを綴る連載企画「PLUS SIZE FASHION vol.1」がスタートします。
記念すべき第一回のゲストはなんと、【湯山 玲子】さん。
今月のお題「ありのままで似合う服」
ラ・ファーファでは「今の体型のままでおしゃれを楽しもう」と創刊より声を上げ続けてきました。
日本でも今秋からマルチサイズを採用予定のECサイトが増えてくるなど、これまでのS・M・Lサイズから、欧米では当たり前なマルチサイズを取り入れる動きがあります。
そこで、湯山さんが思う「ありのままで似合う服」について、どのように感じられているか論じていただきました。
自分の魅力を「外見」で伝えていくことが、ファッションです
ダイエットの広告でよく見かける動機のひとつに、「ファッションを楽しみたいから痩せたい」というものがあります。「7号のワンピースが入るようになりました!」というお馴染みのヤツですが、それを目にするたびに「それって、ズレてるよなあ」といつも思うのです。
いや、分かりますよ、その気持ち。誰しもが若い頃は雑誌で痩せているモデルがカッコ良く服を着こなしているのを見て、「私も〜チャンみたいになりたーい」と憧れの気持ちを持つものですからね。
しかし、もうちょっとオトナになって、自分というものが確立していくに従って、ファッションとは憧れの〜チャンと同じ格好をして満足、というものではなく、自分自身がどんな女性であるのかを表現していくツールであることが分かってきます。つまり、痩せている人も太っている人も、自分の魅力というものを「外見」で伝えていくのが、ファッションなのです。
ここで重要なことがひとつ。外見というからには、「その体型が人に与える印象」というものは、必ずついてまわるということ。そう、世間相場では太っていることはネガティブイメージ。しかし、それを真に受けて、目立たずおとなしくしていてもそのイメージが霧散することは決してないということを忘れてはなりません。世間に存在するマイナスイメージを素直に受け取って、おとなしくしている、または開き直って何もしないでいる人が多数ならば、ファッションに気を使い、智恵と時間をかけて「太っているのにもの凄く魅力的」な少数派を狙った方がおトクということになる。
自分に合ったファッションはどうやったら見つかるのか?
体型の問題を別として、私が若い女性に思うことは、「みんなと一緒の手抜きでラクチンな服や髪型をしていたら、絶対にピックアップされるチャンスは無い」ということ。「私、変わっているんです」と個性自慢をするほとんどの女性は、私から見れば平凡。内面のエネルギーや魅力は外見や態度として、勇気を持って外に表さなければ、誰の関心も引くことができません。
では、自分に似合ったファッションの輪郭はどうやったら見つけられるのか? まずは「人から褒められた服やスタイル」ということを意識してみましょう。たとえば、自分的には気乗りしないけど、着て行ったらみんながイイネと行ってくれた赤のトップス、といったものですね。そういった他人からのいい反応は積極的に取り入くべきです。ただ、気を付けなければいけないのは、そのイイネが親や友達の場合、「アナタにはこうあって欲しい」というバイアスがかかる場合があるので、ブティックの店員さんのような、外部の人間のアドバイスを参考にして見て下さい。
ファッションにおいての個性は、自分の好き放題ではなく、他人の視線と自分自身との丁度良いバランスから発揮されることをお忘れなく。