吉野なお(Nao)『みんな尊い!広告』を作ったウラ話

2020.03.27

『あなたの体は、誰のもの?』

あなたの体はいったい誰のものなのだろう?

「そんなの、みんな、自分のものでしょ」

という人もいるかもしれない。でも、本当にそうなのだろうか?

Twitterでアンケートをとってみた。
アンケート
テレビや雑誌ネットや広告、周りの人たちの会話からなどなど…ダイエット企画、ダイエット情報などに触発されて「よし!自分もダイエットしよう!」と思ったことはありますか?(回答308票)

あるー76%
ないー13%
回答見たいだけー11%

文化人類学者の磯野真穂さんが書いた書籍『ダイエット幻想-やせること、愛されること-』(ちくまプリマー新書)の中にも【やせいたいのか、やせたいと思わされているのか?】をテーマにした項目がある。興味がある人はぜひ読んでいただきたいのだけれど、現代社会で生きる私たちは、どうしても他者の視線や社会的な関わりがある中で生きていくことになる。

あなたの体は、本当に、あなただけのものなのだろうか?

幼少期からぽっちゃり体型だった私は、物心ついた時から25歳ぐらいまで「痩せること」に囚われ、悩み、【自分の体を生きる】ことができなかった。

「大人になったらきっと痩せるよ、大丈夫」と慰められた自分の体がどうにも窮屈で、同級生と映る写真の中の自分の体の大きさに落ち込み、肉に食い込むパンツのゴムの跡が、長さの足らないベルトが、友達と服屋さんに行っても買えるサイズの服がそこにないことが、憎くてたまらなかった。

「いつになったら、私は”本当の私”になれるのだろう」と、ずっと思っていた。

そんな私が思春期にかけて摂食障害を経験して、痩せたり太ったりを繰り返しながら回復し、今はプラスサイスモデルをやっている。
la farfa11
※2019年『la farfa11月号』より(Nao:画像左)


不思議なもので、あんなに嫌いだった自分の体が、今は私を生かしてくれている。

「太っていたら幸せになれない」と思い込んでいたはずの私が、今では太っていても笑顔で生きられるようになり、それを見た人がまた笑顔になってくれたりしている。

それでも、まだまだ世の中は、ダイエットに限らず「あなたはダメだ」「それで大丈夫?」「やっぱり幸せってこうだよね」というメッセージが溢れている。

その裏には、たいてい何かの商品やサービスを売りたい人たちがいたりするんだけど、それらのイメージを潜在的に刷り込まれ、苦しむ人たちも多い。

その一方で、それらのメッセージを真に受け、受け売り、他人を傷付ける人もいる。

みんなそれぞれ、そのままでも良いし、なりたい体、なりたい容姿などがあって当たり前だけれど、それを誰かに強制したり脅かす道具にしてしまうのは何だか納得がいかない。みんな自分の人生、自分の体しか生きられないのに、なぜこうも他人の体型や他人の人生を心配して怖がり、時に怒っているのだろう。

「こんなデブにはなりたくない」や「ブス」という言葉を投げて「だって本当のことだから」と言う人もいるけれど、それ、会社の上司や命の恩人、毎日100万円くれる人にも言ったりするのだろうか?

めちゃくちゃ失礼だぞ!!!!!(大声)


先日ツイートした画像がバズった。
ツイッター
現時点(2020/03/26)で、RT数は1.2万回、Likeは6.2万回、Twitterで550万回も見られたことになる。

そもそもこの画像を作ったきっかけは、怒りに近いものだった。

ちょうど下記の記事を読んでいて、

・脱毛広告がアピールする「主体的な女性」という幻想| 任翅亜(イム・シア)
https://noisie-s.net/looks/490/

・母親を殺した犯人はお前だ!アルテイシア
https://www.gentosha.jp/article/15120/

「わかる~~わかるゥ~~!!!」と50000回ぐらい頷きながらRTしていたし、いろんな人に読んでもらいたかった。

そして思いついた。

息をするように自尊心を傷つけてくるような広告や情報が多いこんな世の中POISONで、「生きてるだけでみんな尊い!」という広告を作ってみたらどうだろう、と。

キャッチコピーはちょっと雑で抽象的でオーバーだったかもしれない。でもこれも、ダイエット広告にありがちなメッセージを目指した。
広告画像1
左のBeforeの写真は、18歳か19歳ぐらいの時の写真だ。

時代を感じさせるギャルっぽい服装は、当時のモラハラ彼の好みだったし、そんな彼に言われるがまま「痩せる事」こそが私の幸せ、太っている事は悪い事だと思い込み、同時にうまくコントロールできない自分の体や心のあり方に苦しんでいた。

(ちなみに、今付き合っているパートナーに初めてこの写真を見せた時は「辛かったんだね」とボロボロ泣いてくれた。私がギリシャ神話のゼウスだったら、彼を星座にしてあげたいほど優しい人である。星座の名前は「優し座」にする予定)

とにかく、この画像に対して、たくさんの人が反応してくれたことに驚いた。

太っている/痩せすぎている事で悩んでいる人、そしてもう悩みから解放された人。

「ダイエット中だけど、このAfterの笑顔はいいな…」と言う人もいた。

途中からリプは追いきれなくなったし、リプよりも何も言わずLikeする人の方が圧倒的に多かったけれど、あの画像を元に、一般的な「当たり前の価値観」が、実はそうじゃないかも、と考えてもらえたりしたら、私的には、おけまるである。

「太った方が幸せってこと?」と書いていた人もいるけれど、太っていようが痩せていようが、幸せは私が、そして、あなたが決めることだと伝えたかったので、今後の課題にしたい。

摂食障害に関しては、ひとりで悩まず、カウンセリングやピアサポートなどへ行くことをおすすめしています。全ての人に合うとは限りませんが、理解できる誰かに話すことで、自分の心の中を整理できたりする可能性もあるはず。何よりひとりで孤独に、自分で自分を責めないであげて欲しい。経験者だからすごくよくわかる。

摂食障害を克服しておだやかに生活できるまでのお話は下記の動画にまとめましたので、興味のある方はお時間のあるときにぜひ。



「あなたの体は、誰のもの?」


これは社会の、現代を生きる私たちの問題なのではないかと思う。

【自分のからだ】を、生きづらくなってしまったあなたや、過去の私が、少しでも穏やかに生きられる社会になるように、引き続き模索していきます。

【執筆者】

吉野なお/Nao
ラ・ファーファモデル
身長159cm 体重72kg
B:104cm W:87cm H:102cm
1986年3月20日生まれ。
ラファモたちの姉御的存在。体型を悩んでいた時期を乗り越え、摂食障害などに悩む女性たちに向け『今』をポジティブに生きるためのメッセージを発信することをライフワークにしている。モデルとしては"Nao”、啓発活動の時は"吉野なお”として活動。
instagram https://www.instagram.com/naopappa/
twitter https://twitter.com/cheese_in_Nao
YouTube https://www.youtube.com/c/Naotube

Naoのプロフィール詳細はこちら→https://lafarfa.jp/models/detail/1

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